万国の労働者団結せよ! |
発行者 現代社 東京都杉並区下高井戸1-34-9 |
革命的労働者協会 (社会党・社青同 解放派) |
【解放 972号 (2011/1/1) 《年頭論文》 】【 以下、無断転載・無断作成 】
第1章 世界恐慌の深化と反革命戦争突撃 世界恐慌の深化と階級支配の危機 世界恐慌の現局面 二〇〇八年九月に突入した世界恐慌は、ますます深化し激化している。生産も貿易もひきつづき縮小している。 一時的な[回復」の虚構も、国家の財政投入によるもの以上ではなく、結果としてギリシャ、アイルランド、スペイン、 ポルトガルなどでつぎつぎと財政破綻が拡大している。 恐慌は、第一義的には生産の全般的で累乗的・急速な縮小のことである。この生産恐慌を基礎にして、多くの場合これに金融恐慌(通貨危機、 株価の崩落など)が尖端的に爆発し、また金融恐慌が生産恐慌を加速する。 貿易・信用が全世界的に展開されている今日においては、両者はよりいっそう相互規定的・相乗的に発現する。 事態の根底には、全世界的な資本制生産の拡大再生産の行きづまりがある。 恐慌は、単に資本制生産において不可避にたどる循環なのではない。本質的に資本制生産それ自身の根本的矛盾の一挙的・暴力的噴出である。 資本の蓄積(資本家による、労働者から搾取した剰余価値の資本としての充用[=再生産])ならびにそれと同時に進む生産力の発展にともなって、 固定資本が巨大化し質的に飛躍し、これと対応して資本の有機的構成が高度化する。 これが資本間の競争をとおして一般的になるにつれて利潤率が低下する。 そして、価値増殖のための生産の拡大とさらなる有機的構成の高度化がおし進められ、 ついにはその資本蓄積が利潤増大を不能にする極限にいたる。恐慌は、このことの表現である。「過剰生産」一般なのではない。 まただからこそ、ブルジョアジーにとってはその解決策が労働者・人民からの極限的な搾取と収奪以外になく、 またそのことが階級支配の危機をもたらす。 そしてブルジョアジーはそれまでの資本主義世界経済を支えてきた基本的な諸関係(国際通貨制度や貿易機構)の再編を不可避とし、 このことが労働者・人民に対する支配・隷属−搾取、抑圧・差別−収奪をいっそう激化させる。 「恐慌」とは、こうした階級闘争自身の飛躍の時期をさし示すのである。 深まる経済危機 ブルジョアジーは国家財政の投入によって恐慌を食い止めようとしてきた。 米国では、〇九年はじめからオバマ政権による史上最大の七八七〇億ドルの景気対策がおこなわれてきた。 しかしこの効果は一一年はじめにも切れると予想されている。すでに各国の財政赤字が拡大し、アイスランド、ギリシャと財政破綻が噴出した。これに恐怖したブルジョアジーは、〇九年には「出口戦略」と称して財政投入を縮小しようとした。しかしその瞬間に生産が急激に縮小するという事態をくり返し、一〇年にはこの「出口戦略」を放棄しふたたび膨大な財政投入になだれこんでいる。 米帝において、〇八年から一〇年にかけて首を切られた労働者が八百四十万人、 これに対して一〇年一月から七月に増加した就業者数はわずか六十五万人である。 現在一千五百万人もの失業者が存在しつづけており、その平均失業期間は三十四ヵ月である。 今次世界恐慌の震源地であるアメリカ経済は、政府の財政投入−大企業・大銀行救済措置により経済規模の縮小がいったんは止まったが、 大統領オバマが「(景気回復の)進展は苦痛なほど遅い」と漏らすほど、生産活動が低迷したままの状態が長期化している。 オバマは「五年間で輸出倍増」をかかげ、輸出拡大に恐慌脱出の展望をかけている。同時にドル増刷によるドル安政策にふみ切った。 米国債を米中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)が購入するという「禁じ手」の行使である。これは表裏一体にドル安をもたらす。 大量のドルは、通貨切り下げ競争と投機をよびおこし、中国、インド、ブラジルなど世界中で通貨高とインフレをもたらしている。 いったん火のついたインフレは政策的におしとどめるのは困難であり、貧しい人々の生活を直撃し、 闘わなければ生きていけない窮状を加速させている。 ドル安はドルの信認を失わせ、ドル基軸通貨体制を崩壊させる危機的局面にまで深まっている。 アイルランドが財政危機に陥り、破綻の危機に陥った大手銀行がつぎつぎと国有化されている。 ヨーロッパ連合 (EU)と国際通貨基金(IMF)は十一月、八百五十億ユーロ(約十兆円)の緊急融資をおこなった。 EUはギリシャにつづき二ヵ国目の救済をおこなった。 アイルランド政府は緊縮財政にふみ切り、付加価値税率(消費税)の引き上げなど増税、公務員の大量首切りと賃下げ、社会保障給付切り下げ、 水道料金の有料化や大学授業料の値上げなどをうち出した。 一方、法人税率はこれまでEU一安く各種の法人優遇税制をふくめると実質五%(日本は四〇%)といわれる「企業天国」アイルランドで、 公定法入税率一二・五%は据え置きとなった。怒りに燃えた労働者・学生はストライキ・デモで闘っている。 アイルランド危機は、ポルトガル、スペイン、イタリアに飛び火し、両国の国債が値下げされた。 救済されたはずのギリシャも財政赤字はさらに深刻化し、EU全体が恐慌の波に沈みつつある。 年率一〇%を超える経済成長が統く中国では、インフレが加速している。 この経済成長と元高が世界中から投機資金をよびこみ、都市部では不動産がこの一年で四割弱も値上がりしている。 中国政府は金融引き締め措置をくり返すが、物価上昇は歯止めがかからない。 インフレは、経済発展から取りされてきた農村部・内陸部のみなら都市部貧困層にも甚大な打撃を与えている。 帝国主義資本に安価な労働力して搾取されてきた中国労働者階級が、 ストライキをもってたちあがり帝国主義諸国資本の搾取のおこぼれを特権的に収奪してきた中国スターリン主義に対する反逆が本格化している。 恐慌の危機を中国に対する資本輪出と中国労働者人民の搾取で乗り切ろとしてきた資本主義世界経済の脆弱な延命環を、中国バブルの迫りくる崩壊的危機が断ち切ろうとしている。 十一月に、二十ヵ国・地域サミット(G20)とアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議が、ソウルと横浜で開催された。 世界貿易機関(WTO)の新「多角的貿易交渉」(ドーハ・ララウンド)の妥結見通しが遠のくなか、 自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)などの二国間交渉で自国だけは延命しようとする動きが強まっている。 恐慌の危機は、他国を蹴落としてじ国の対外貿易を拡大しようとする通貨安競争を激化させている。 G20−APECにおいて、経済的な「解決」方針は何一つ生みだされなかった。 G20では米帝が「五年間で輸出倍増」という得手勝手な方針をふりかざし、主要に中国(さらには日本帝国主義、 ドイツ帝国主義)に対して「貿易黒字を圧縮しろ」という要求をもち出し、結局何一つ合意は得られなかった。 APECでは、アジア太平洋規模での自由貿易圏(FTAAP)の形成をうたいあげたものの、 現実には、米帝が主要に推進する環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)、 日帝がかつて推進しようとしたASEANプラス六カ国(日、中、韓、豪、ニュージーニド、印)、 そして現在中国が推進しようとしているASEANプラス三カ国 (日、中、韓)を、そのための回路として列記することしかできなかった。 いずれも一致した延命策ではありえず、 諸国支配階級の「他入のことなど構っているわけにはいかない」と延命策の矛盾とあつれきがますます拡大することを示している。 のみならずこの延命のあがきが、WTOに示されている国際貿易関係や、国際貿易の前提である「基軸通貨」としてのドルの位置という、 自分たちの延命条件そのものをも掘り崩すものになっている。 したがってG20−APECの実践的な帰結は、帝国主義ブルジョアジー、ブルジョアジー、そして中国スターリン主義が、 自国ならびに全世界の労働者・人民に対する搾取と収奪、鎮圧と支配の強化にひたすら突撃するということである。 恐慌は労働者人民の生活を脅かしている。賃下げ、首切りが増大し、財政破綻を増税・福祉切り捨てで突破しようとする攻撃が強まっている。 こうして全世界で労働者人民が闘わなけば生きていけない「闘いか死か」の革命の時代がはじまった。 国際情勢は恐慌と戦争の危機のもとにあり、戦後六十五年の歴史をへて、国際階級闘争はこの危機を、蜂起−革命戦争に転化し、 全世界にわたるプロレタリア独裁を樹立できるのか否かの、階級決戦期をむかえているのだ。 ストライキにたつ労働者階級 ギリシャに続き、フランスで、アイルランドで、ポルトガルで、そして全欧州が、ストライキとデモの波にのみこまれている。 学費値上げに反対する学生のデモが、フランス・イギリス・アイルランド、そしてイタリアで闘われている。 ギリシャ・フランス・スペインなど全欧州で年金改悪・賃下げなど経済破綻を労働者におしつける攻撃にストライキ・職場制圧から街頭制圧への実力攻防が闘われている。 アメリカでは千五百万人が失業したままであり、恐慌勃発以降、八百万人以上が職を失った。失業期間は長期化し、困窮者は四千万人をはるかに超えている。 中国では中国スターリン主義政府の「改革・開放」=資本主義化による矛順が爆発している。四億ともいわれる農民工(農村地帯から工業地帯への出糠ぎ労働者)への矛盾の集中と切りすて、沿岸部と内陸部との格差、帝国主義進出企業による低賃金・過酷な労働などによって搾取・抑圧されている。これに対して数十万件(政府は余りの多さに統計の発表をやめた)ともいわれる争議が勃発している。この争議の多くは工場や住居の占拠など実力をもって官憲・資本と対決している。 世界恐慌は労働者人民のストライキ時代の幕開けをつげ、実力闘争・武装闘争が自己の生存をかけて闘われる情勢を切りひらきつつある。 われわれも資本の鉄鎖を断ちきり、職場制圧から街頭制圧への実力攻防で、排外主義・差別主義攻撃を粉砕し、「闘わなければ殺される−生きていけない」としてたちあがる全世界の労働者と連帯して帝国主義ブルジョアジー打倒に決起しよう。 米帝のイラクとアフガンでの敗勢 米帝軍は、アフガニスタンでますます敗勢におちいっている。オバマの死活をかけた増派とタリバンせん滅作戦は完全に失敗した。 昨年十二月にはいっても首都カブールでカルザイ政府軍や警察へのゲリラ戦があいついで炸裂している。また米軍への攻撃も果断なく続いている。年初からの米軍と国際治安支援部隊(ISAF)−駐留外国軍の死者数は七百人をこえて二〇〇一年の対テロ戦争=アフガニスタン人民虐殺戦争開始以来帝国主義にとって最悪のペースとなった。これまでの外国軍兵士の死者数は二千三百人にせまり、その三分の二は米軍である。またイラクやアフガンへの米出撃部隊の中心である米陸軍での自殺者も年々増加している。カルザイ政府軍と警察はさらに多くの死傷数を出しているが発表していない。むしろ発表できないのだ。 カルザイを中心としたアフガン支配勢力は、一方で米軍に治安を依存しながら、他方でタリバンとの取り引きに走り、しかも七ヵ月にわたって組閣ができないままである。米帝にとって「タリバンせん滅」はもはや不可態である。 六月末には、アフガニスタン駐留来軍トップのマクリスタルが公然とオパマ政権批判をおこない更迭された。しかもその後任には、イラク、アフガンのみならず中東地域全体を統括する中央軍司令官であるペトレイアスがあてられた。すなわち、マクリスタルの個人的問題なのではなく、現地司令部そのものが米帝軍・政府中枢の方針ではもはや戦争を継続できない状態にたちいたっているのである。だから、単に司令官の交替だけではなく、予定されていたタリバン掃討作戦そのものも延期されている。そしてアフガンでの敗勢を取り戻すように、米帝は朝鮮反榊命戦争挑発を強めている。 米帝オバマは、アフガニスタン戦略を検証した報告書に関して記者会見し、「(テロ掃討作戦は)成果をあげている」としたうえで「治安情勢はもろく逆もどりすることもある」と悲嶋をあげている。パキスタン国境付近の空爆による人民虐殺、あいつぐ民間人への爆撃によってアフガニスタン人民からの反発は増している。ドイツやイギリス・カナダなどは国内の反戦闘争によって撤退を迫られている。日帝自衛隊の出兵を断固阻止し、米帝−帝国主義のアフガニスタン人民虐殺戦争粉砕にたちあがろう。 米帝プッシュ−オバマの対イラク反革命戦争−占領支配は完全に失敗し、米帝は敗退した。オバマの二〇一一年、米軍撤退計画は練り直しを迫られている。十五万人を投入したイラク反革命戦争は数十万人のイラク人民を虐殺し、二百万人もの難民を生みだし、環境を破壊し、生活条件をズタズタにし,劣化ウラン弾=核兵器による深刻な人体への影響を残した。中東の主要な産油国であるイラクは原油輸入国に転落した。このような米帝−帝国主義のイラク人民虐殺に対するイラク−中東人民の怒りはいっそう高まっているのだ。 三月のイラク連邦議会選挙は首相マリキが率いる「法治国家連合」がアラウィ(元暫定政府首相)派の「イラキーヤ」に二議席およばず第二党になった。さらにシーア派連合や「クルド同盟」などが連立し混迷状態になった。十二月、九ヵ月ぶりにマリキが首相に任命されたが、シーア派、スンニ派、「クルド同盟」などの利害が対立し、また選挙そのものを認めないとする勢力の存在など武装対立はさらに激化するであろう。米兵の完全撤退と帝国主義の支配とその手先になるものの打倒にむけて闘うイラク人民とともに闘おう。 米帝・シオニストによるパレスチナ襲撃−虐殺を許すな 中東の帝国主義支配を危機に追いこんでいる根源は、不屈に闘いぬかれているパレスチナ労働者人民の武装解放闘争である。 昨年五月三十一日未明、イスラエル・シオニスト軍は、パレスチナ・ガザ地区への支援物資を載せた船団を地中海上で襲撃し、連帯活動家多数を虐殺し負傷させた。そして六隻の船団を拿捕(だほ)し、イスラエルの港に連行した。 この虐殺に対し、ガザ中心部で数千人規模の抗議行動が爆発した。イスラエルの占領支配下にある四八年被占領下パレスチナ人民を代表する「イスラエル・アラブ市民委員会」は、抗議のゼネストをよびかけた。北部アッカ、ウム・アルファハムなどで抗議行動がまきおこった。四八年被占領地(現「イスラエル」)、六七年被占領地 (ガザ、ヨルダン川西岸地区)、そしてアラブ−中東諸国に離散を強制されたパレスチナ人民をつらぬいて虐殺弾劾の怒りが爆発したのだ。 この事態に対し、イスラエルの新聞などのメディアは「第三次インティファーダ(反イスラエル人民蜂起)に発展しかねない」と危機をあらわにしている。 イスラエルによる支援連帯船襲撃−虐殺を徹底弾劾しよう。 米帝の中東反革命支配は危機に瀕している。核武装したイスラエルは米帝の支援をうけてステルス戦闘機F35を樽入し、イランの核武装を阻止するとしてイラン核施設への爆撃を準備している。イスラエルはファタハ指導部アッバスとの直接「和平」交渉を開始したが、これはパレスチナ解放闘争圧殺、イラン爆撃のための時間稼ぎにすぎない。欺まん的なガザ「封鎖緩和」のなかで入植を継続・強行している。何よりもパレスチナ人民に対する弾圧と射殺−虐殺が継続されている。 われわれは連帯運動そのものが命がけの闘いとなっていることをしっかりと確認する。日々虐殺、逮捕、投獄、追放、家屋破壊、農地強奪、果樹引き倒しなどの弾圧にさらされながら闘っているパレスチナ人民と連帯しよう。決戦の三里塚と結び、三里塚ーパレズチナの連帯を強め、<プロレタリア国際主義と武装連帯>を旗印にパレスチナ人民連帯運動の前進をかちとろう。日帝・自衛隊のゴラン高原出兵を粉砕しよう。 日米韓三国共同の朝鮮反革命戦争突撃 11・23交戦と日米韓の戦争突撃 十一月二十三日、韓国合同参謀本部は、北朝鮮が午後二時三十四分ごろ、黄海上の軍事境界線と位置付ける北方限界線(NLL)に近い延坪島(ヨンピョンド)海域付近に数十発の海岸砲密発射し、これによって兵士と島民に死傷者が出たことを発表した。合同参謀本部は、ただちに北朝鮮にむけて砲撃と戦闘機による軍事行動を展開したことを発表した。 しかし真相はこうだ。二十三日、韓国軍は北朝鮮領に近接する黄海で「護国訓練」と称する訓練を実施した。北朝鮮の朝鮮中央通信は「われわれがくり返し警告したにもかかわらず、韓国軍が数十発の砲弾をわが領内に発射した。われわれは強力な反撃をおこなった」とする声明を伝えた。北朝鮮は、韓国軍の軍事訓練に先だち「訓練は北朝鮮への攻撃ではないか」と非難し、二十三日午前八時には「南側が領海に射撃すれば座視しない」と通告してきたことは韓国の報道でも明らかになっている。そもそもNLLなるものは米韓の支配者階級がかってに決めたものであって北朝鮮および中国政府は認めていない。韓国軍は警告を無視し、北朝鮮の近海で軍事訓練を強行し、砲弾を発射するという戦争挑発をおこなったのである。これは米帝・日帝とも意思一致した韓国李明博政権による計画的な戦争挑発と戦争突撃である。G20や横浜APECで日米、米韓、日韓の首脳会談をとおして北朝鮮への制裁と戦争的包囲について意思一致を積み重ねてきたのである。「平和的解決」などは放り投げ、「戦争的解決」に突撃してきたのが日米韓の支配階級である 砲撃直後、韓国空軍は現場上空にいたKF16戦闘機やF15戦闘機の計八機を出撃させた。北朝鮮側は砲撃直前からミグ23戦闘機五機が哨戒任務にあたっており、一触即発の緊迫した情況であったことが明らかになっている「局地戦」から全面戦争への危機が激化しているのだ。 米帝は「オバマ大統領は激怒してる」と報道官が説明し、「国際社会は北朝鮮に圧力を」とよびかけた。横須賀から原子力空母「ジョージ・ワシントン」を出港させて二十八日から黄海で米韓合同演習の強行にはいった。これはさらなる戦争包囲・挑発である。 日帝・菅連合政府は「北朝鮮の許しがたい蛮行だ。韓国を強く支持する」としたうえで日米韓による密接な連携と制裁の強化に言及した。また、日米とも「中国の国際社会における責任」を語り、北朝鮮に自制を促すよう働きかけるべきだとして中国に圧力をかけた。 日帝ブルジョアジーは、日帝の暴虐な略奪・虐殺の朝鮮植民地支配を居直り、一九五〇年朝鮮戦争においては米帝−「国連軍」の兵站・出撃基地として朝鮮労働者人民の虐殺に加担し、その血を吸うことで戦後復興の足場を築いてきた。この日帝ブルジョアジーが、 「北朝鮮の許しがたい蛮行だ」などとほざき、労働者人民同士を殺し合わせながら「反共統一」にむけた反革命戦争に突撃することを断じて許してはならない。日帝ブルジョアジーに北朝鮮スターリン主義を批判する資格はまったくない。国境をこえた労働者階級の闘いこそがスターリン主義を突破することができるのだ。これは自国帝国主義打倒の闘いによってのみ貫徹できる。 日米に支援された李明博政権の戦争挑発・突撃 十一・二三交戦は、五月以来の韓国大統領李明博と米帝の対北朝鮮戦争包囲と挑発が生みだしたものである。 五月二十日、李明博は「三月の韓国哨戒艦『天安』の沈没は北朝鮮の魚雷によるもの」と断定し、北朝鮮に対する制裁と「ふたたび領海・領空・領土を侵犯すれば即刻自衛権(支配階級の「自衛権」発動とは軍事攻撃にほかならない)を発動する」と戦争宣言を発した。以降米韓による大規模な軍事演習を発動させ、そして米帝国務長官クリントンと国防長官ゲーツは南北軍事境界線に出むいて戦争挑発をくり返した。さらに十一月、ウラン濃縮施設を公開したことに関連し、韓国政府は米帝や日帝との協調のもとで中国に圧力を加え北朝鮮包囲を強める行動にでてきた。米帝は「悪行に見返りをあたえない」としてさらなる制裁の検討にはいった。 韓国国防部長官金泰栄は二十二日、国会で米軍の戦術核の再配備に言及した。核攻撃の検討という最大級の戦争挑発をおこなったのだ。こうしたなかで二十三日の軍事訓練・砲撃と戦闘機の発進という戦争突撃がおこなわれている。 李明博は「ふたたび挑発ができないほど、二、三倍の圧力を加えろ」と軍に指示を発した。そして報復が弱い−「一時間以上も砲撃を許した。話しにならない」などの高まる批判をテコに金泰栄を更迭し、戦争態勢の強化にはいった。延坪島周辺の兵力の増強、交戦規則の改定、そして二十五日の緊急安保・経済点検会議で「世界最高の装備で徹底対応しろ」と指示をし、ただちに追加予算の決済にはいった。 米韓による「北の一方的な攻撃」というデマキャンペーンをうち砕いていかなければならない。また北朝鮮スターリン主義者は北朝鮮の被害のことは発表していない。しかし、「黄海沿岸の基地周辺で火災が発生し、多数の被弾や施設を破壊した痕跡も把握した」と韓国合同参謀本部は発表し、「韓国よりも大きな被害か」(聯合ニュース)という報道もある。人民同士を殺りくさせる反革命戦争を徹底的に弾劾・粉砕しなければならないのだ。 二十四日、駐韓米軍司令部は十一月二十八日から十二月一日にかけて、黄海上で米韓合同軍事演習をおこなうことを発表し、実際に強行された。これには米空母ジョージ・ワシントン(九七〇〇〇トン)をはじめ空母随伴のイージス巡洋艦とイージス駆逐艦など六隻が参加し、韓国軍は初のイージス巡洋艦「世宗大王(セジョンデワン)」のほか駆逐艦(KDX-2)と哨戒艦、機動軍需支援艦(=補給艦)、対潜航空機(P3C)などが参加した。まさに実戦さながらの大規模な戦争訓練であった。昨年七月にもジョージ・ワシントンが参加する黄海での米韓合同軍事演習が計画されたが中国と北朝鮮の強い反発で中止された。戦闘機や哨戒機など七十機以上を搭載するジョージ・ワシントンは洋上の巨大な軍事基地であり、北朝鮮全域を射程にいれる核爆弾トマホークを搭載した核基地でもある。この核空母と史上空前の大規模な軍響演習はそれ自身が戦争挑発とどう喝である。北朝鮮や中国に大きな脅威をあたえ、戦争的緊張が極限化した。さらに中国の首都北京を完全に射程にいれた展開をもって中国に圧力を加えた。「中国が北朝鮮を甘やかしているから暴走するのだ。影響力を行使して制動させろ」と米帝、日帝、李明博政権は勝手な理屈をもって中国に圧力をかけている。連続する軍事演習こそが戦争挑発である。 南朝鮮(韓国)の労働者人民は、十一月十一日から十二日のソウルG20に対し、数万の労働者・農民・学生・市民の結集で反対闘争にたちあがった。現代自動車の「非正規」労働者の工場制圧・実力闘争をはじめとして権力・資本と対決している。そして米帝・帝国主義と一体となった李明博政権の反革命戦争突撃に反対している。さらに米韓合同軍事演習に対して「くり返される軍事訓練は決して韓半島の平和的な生存ではなく、悲劇的な結果への近道である」 (社会進歩連帯)、「核母艦を動員した韓米西海岸合同訓練など、アメリカ帝国主義と韓国李明博政権が強行しようとしている軍事的緊張感の増大は絶対にゆるされない」(労働解放実践連帯《準》)など戦争挑発の軍事演習に強く反対している。 李明博政権は反革命戦争突撃と一体となって労働者人民の闘いの圧殺を激化させている。争議破壊やレッドパージ攻撃を激化させ、予備役の召集の検討など戦争動員を強めている。これに米帝と日帝は加担している。南朝鮮労働者人民の闘いと連帯して闘おう。 台頭するファシズム 激化する恐慌の危機が、世界中でファシズムの台頭を招いている。失業率が軒並み一〇%を超え、南欧諸国では二〇%前後の高い失業率が恒常化している。 "移民労働者が職を奪った、EU統合でほかのEU諸国に富を奪われている"という排外主義扇動が高まっている。こうして、ヨーロッパ中で「EU統合反対」「移民排撃」をかかげるファシストが台頭している。 ハンガリー、オランダ、ベルギー、スウェーデンなどヨーロッパ全域で、ファシストが議会選挙で得票数を拡大させている。」フランスのサルコジ政権は逮捕した移民労働者のフランス国籍を剥奪し国外追放し、とりわけ歴史的に少数民族差別の対象とされてきたロマ人を集中的に取り締まり追放している。 アメリカでは、アフリカ系と同時にヒスパニック系の労働者に対する「ヘイトクライム」(被抑圧少数民族に対する差別主義襲撃)が激増し、メキシコ国境沿いの各州で「不法移民」に対する令状なしの逮捕と強制送還を可能とする法律の制定が進んでいる。 日本では、「在日特権を許さない市民の会(在特会)」が朝鮮学校襲撃などをくり返し、「尖閣問題抗議」をかかげる右翼ファシストの在日中国労働者人民に対する差別主義襲撃策動が高まっている。鹿児島県阿久根市長竹原の「障害者」差別虐殺扇動、東京都知事石原の朝鮮学校補助金打ち切り策動が続いている。 ファシストの台頭は恐慌と戦争の時代に全世界で進行する歴史的事態であり、ファシストとの闘いは現下のプロレタリア革命闘争の戦略的課題である。武装襲撃をくり返すファシストを武装闘争でうち倒し、自らを革命的強者としてうち鍛えなければならない。ファシストとの闘いが階級闘争の正面からの課題となる時代こそ、公然−非公然を統一的に展開し、非合法軍事を推進する革萌党−プロレタリア統一戦線建設が強力に推進されなければならない。国家権力・革マルの弾圧とテロに屈し自らを武装解除した勢力は、対ファシスト戦を闘えない。労働者階級と被抑圧・被差別人民大衆とともに闘う反ファシスト大衆運動の公然とした推進と、その先頭で闘うファシスト打倒の武装闘争を、戦略的布陣を形成し闘いぬかねばならない。 (→ はじめに ) (→ 第2章 深まる恐慌−戦争突撃、菅連合政府による首切り合理化・増税−「社会保障」切りすて攻撃 ) |
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